

渡辺:何でもすぐに習得してしまう慶一さんにはいつも本当に驚かされます。
小林:そんなことはないですよ、やはり大変です。
渡辺:もちろん大変な努力をなさっていると思うのですが、全ての仕事を短期のうちにとても高いレベルにまでもっていってしまう。
小林:僕はなにしろ集中です。やる時は徹底的にやります。フグの調理師の試験を受けるときも、毎日仕事が終わってからストップウォッチを置いて、よーいスタートで練習を始めるわけです。フグの試験はちゃんときれいに捌き終わるまで20分なんです。
最初うちの板長や父に習ったときには、1時間以上かかってしまいましたが、試験を受ける前には15分でできるようになっていましたね。
渡辺:集中して数をこなすというのも一つの上達の秘訣だと思うのですが、ゴルフ、テニス、フグとどうしてそんなにいろいろなことがうまくなるんですか。
小林:そうしなければ気がすまないんです。性格ですかね。
渡辺:どうやっているんですか、実際。
小林:研究します。どうやったらフグが早く捌けるかをよく考えて、とにかくコツを見つける。そして、それを見つけたらそれを体に染み込ませることが必要なんですよ。
たとえばゴルフ、みんながうまくならないのは、それをやらないからです。
渡辺:コツを染み込ませる努力をしていない。
小林:そう、していない。僕は今でも毎日、竹箒を何十回も振るわけですよ。
渡辺:ご自宅で。
小林:自宅で。だから練習場へ行かなくてもいつもおなじスイングができるわけです。練習場へ行かなくてもうまくなるコツはいっぱいあるのです。
渡辺:ゴルフのスタートは練習場ですか。
小林:はい。最初は練習場のプロについて、今でも習い続けています。
渡辺:すぐにシングルになったんですよね。
小林:ええ、1年間でシングルに。
渡辺:どうしてそんなに早く?
小林:会社へ行く前に毎朝、練習していました。練習場に行って100球ぐらい振って、それから会社へ行くのです。それを365日やりました。
僕はゴルフを始めたとき、スイングづくりをまず第一に考えました。要するにスイングづくりだけを念頭に置いてやる、いつだって同じように振れるように体に染み込ませるわけです。
渡辺:そうですか。うまくならない人は染み込ませる努力が足りないのですね。
小林:それをやれば絶対にうまくなります。うちの社員にもそれをやらせてシングルになりましたよ。
そういうことをみんなに教えるわけですよ。僕はゴルフを始めたのが27ぐらいで遅いしょう。だからよくわかるんですよ、どうやればうまくなるかというのが。ただ、それもやれる人とやれない人がいるわけです。その努力をできることがひとつの素質なんですよね。
渡辺:趣味でお能もされていますが、お仕事にはつながりますか?
小林:仕事にはつながっていませんが、六雁の屋号を書いて下さったのはお能の関根祥六先生です。
先生のお名前に「六」がつくのでこれはと思い、先生に「六雁」の屋号を書いていただけませんかとお願いしたら、「俺でいいの」と言って書いてくれたんです。それが飾ってある「六雁」です。
渡辺:本当に素敵ですね。なんていうか、温かい血が通っていますね。
小林:そうですね。自分が好きでやっているんだから、店の食器にも口を出します。内装も僕が考えています。
渡辺:洗練されていて素敵な雰囲気ですよね。素晴らしいです。
小林:「それがわりといいんじゃないの」みたいな感じで収まっていますけど。
やっぱりこう、僕はどちらかというとすっきりしている方が好きなんです。
渡辺:オープン10周年という一つの節目に向かっていますが、この先、新たに何か始めたいことはありますか。
小林:いや、もうなるべくやらないほうに。六雁をやって、リハビリのPNF研究所をやって。
渡辺:お能もですね。
小林:お能は来年、舞台があるからそれをめがけて猛練習中です。
渡辺:どこでやるのですか。
小林:渋谷の観世能楽堂です。よかったら観に来てください。
渡辺:ありがとうございます。
本日はお忙しい中ありがとうございました。本当にすごいお話が聞けてとても勉強になりました。
今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
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六 雁(むつかり)
営業時間 17:30 〜 23:00
定休日 日曜日/祝日 中央区銀座5-5-19 銀座ポニーグループビル 6F/7F TEL. (03)5568-6266 http://www.mutsukari.com/ |